鳥衝突日本委員会

鳥衝突データベース3 時間

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データベースには発生日時が重要事項として入れられているので、データベースの利用の例として、時間の変化によって現象がどのように変化しているかという統計を見てみよう。

まずデータがまとめられている19年間について毎年の報告例がどう変化しているかというのが、図である。米国、イギリス、ドイツ、オーストリアの4カ国について、すべて同じ条件でのデータが入手できるわけではないが、各国を比較するために、それぞれの平均衝突数に対する割合としてプロットした。それによれば、あきらかに2000年付近から増加する傾向にあるが、2006年頃から増加傾向は止まったように見える。

この増加傾向は、別項に上げる鳥の生息数の増加と同じ傾向を示していて、それが原因の一つであることは明らかである。その他にも、衝突の報告方式という技術的な問題があって、報告数が増えているのであり、必ずしも衝突数をそのまま反映しているとは言えないという見方もある。しかしその他の要因、たとえば飛行数の増加傾向や、被害損害額の増加、衝突事故にかかわる訴訟の数の増加などを考慮すると、衝突件数自体が増加していることは否定できないであろう。

次にもう少し短い周期の変化を見てみる。月毎の統計が公表されている米国とイギリスでは、まったく同じ傾向を示していて、夏季の6月から10月までが年平均数を上回っていて、鳥の活動と関連しているであろうことが分かる。しかし同じ統計量をオーストラリアのもので見ると、そちらには山が4-5月と10月付近に二つあり、傾向が異なることがわかる。これは大陸の違いによるもの、あるいは南北半球の違いによるものなど、種々の要因が考えられよう。いずれにしても、それぞれの国によって鳥の活動の事情がことなることに注意が必要で、各国が独自の調査を行うことが必要であることを示唆しているとも言えよう。

さらに短く、一日の中で何時ごろに衝突が多いかをみてみる。時間ごとという細かい違いはあまり意味がなく、(精度がそれほど良いわけではない)夜明けや日没程度に分けられている。それによると、やはり日中が63%と多いのだが、夜間も27%と約1/4程度あり、重大な問題となっている。旅客・貨物合わせて、国際線については夜間も空港を使いたいというのが、どこの国でも強い要望・要請で、対策を急がなければならない状況になっているようだ。残りは明方と夕暮れがそれぞれ5%程度である。

ちなみに、動物との衝突については、日中よりも夜間のほうが2.5倍も高い割合になっている。動物の視野が大型航空機ほどないせいなのかも知れない。

 

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