鳥衝突日本委員会

鳥衝突のリスクとは

このエントリーをはてなブックマークに追加
Bookmark this on Yahoo Bookmark
Bookmark this on Livedoor Clip

航空機の事故やトラブルの原因には、鳥衝突だけではなく、多様な理由があり、しかもそのもたらされる結果も多種多様である。その中でなぜ鳥衝突が特に問題視される必要があるかについて考えてみる。

空中での衝突の原因はほぼ100%が鳥との衝突であり、他の野性動物との衝突は地上である。地上での他の生物との衝突は、対象領域内での生物の数そのものを減らすことが十分可能で、予測不可能な行動は極力抑えることが可能であるから、対策が十分立てやすい。(費用負担が少ないわけではないが。)それに対して鳥との衝突は空中であってしかも群れをなすことが多く、予測が困難である。

さらには、鳥衝突という比較的単純な理由にもかかわらず、そのリスクの規模と重大性が非常に広い範囲であることがある。たんに小さな鳥が衝突して機体を汚す程度のものから、機体本体や付属した機器の損傷、エンジンの損傷、ひいては墜落によって人命を失うというレベルまで広がっている。

同じレベルのトラブルで、例えば離陸を中止することになる理由としては、機体関係でいえば、エンジンやタイヤの故障、管制の混乱、落雷等の気象急変等があげられる。それらとならんで鳥衝突も、機長の判断で離陸を急に中止することがあり得るし、実際に発生して報告されている中止原因の50%が鳥との遭遇であるというのが、パイロットや管制官の印象として言われている。

英国での報告によると、航空局への報告が義務付けられているレベルの発生異常事象の数のうち、約2%が鳥衝突によるものと言われている。これはそれほど大きな割合ではないが、事象の種類の多さから考えても、無視できる割合でもない。

さらに事象ごとで統計を取ってみても、決して小さな割合ではないことが分かっている。例えば、エンジンの停止等トラブルの原因の1.4%、離陸中止については3.4%が鳥衝突が理由である。

これらは報告されたデータを解析した結果であり、実際に機長や空港管理者等の運航オペレーターの話では、報告数の約1/3は鳥衝突関連の事象であるといわれている。したがって、鳥衝突によるリスクは十分に考慮して対策を立てる必要がある問題であると言える。

コメントをどうぞ。

comments

Powered by Facebook Comments