鳥衝突日本委員会

機体を強くする対策

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鳥衝突は機体全体に発生しているが,一番重要な部位はやはりエンジンである.この鳥衝突は地政学的位置によらず発生するので,どの国でも同等に重要視されていて,連携して対策をたてられている.特に米国では,エンジン製作会社が開発の段階から対策に取り組んできた.

政府による規制はほぼ10年ごとに改定されている.最初の規制は1960年にイースタン航空がLogan国際空港で発生した鳥衝突による事故への対応から始まった.この規制は鳥とは規定せずに,一般の異物の衝突として扱われ、その事象が大きく拡大しないような設計にすることが必要とされている.しかしその主な対象は鳥の衝突を想定していて、特にその大きさについて規定している。

1975年にはJFK国際空港で離陸中のDC10 がカモメの群れに遭遇してエンジンが炎上した。この事故により機体は損傷・消失した。当時の規定ではこのサイズの鳥の衝突やその数の増加を考慮されていなかった。この事故を契機として、数件の大型の研究調査がおこなわれ、2000年に大きな規定変更がなされた。重要な点は、2.5ポンドの中型の鳥を吸い込んでも飛行が継続できること。カナダガン程度の大型の鳥(4ポンドから8ポンド)を吸い込んでもエンジンが停止しないことが必要である、とされたことである。

2007年には、カナダガンやハクガンの増加に対応して、さらに規制が強化されて、それらをすいこんでも飛行を継続できるように、となったのである。このような機体、特にエンジンの健全性への規制強化は、エンジンメーカーにとっても重大な関心事である。それだけの強度増加のための負荷増加をどのように緩和できるか、という研究が継続されている。

一例をあげる。PW社に研究によると、強度を増加するためにタービンブレード(翼)にコピー用氏二枚分の材料を追加すると、エンジン全体では構造強化材を含めて合計100ポンド(約50キロ)の重量増加になる。そうするとその重量増加に対応して、着陸時の機体安全性のためにパイロン(柱)への追加負荷が発生することになる。するとそれらをカバーするために、翼全体の強化も必要となり、機体全体重量が増加。飛行時の燃料消費が増加のために、積載燃料も増加。結局、経済性全体への悪影響となるのである。

当然、安全性は規制があるからという理由だけではなく、産業全体での問題であるから、対処は必要で、多くの開発研究がおこなわれている。その分かりやすい例をあげると、鳥を実際に運転しているエンジンに衝突させて破壊の程度を調べている。エンジンの回転軸がぶれたり、カバーが吹き飛んだり、いろいろな事象を発生させて調べている。

 

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