鳥衝突日本委員会

鳥衝突のリスクとは

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リスクとは一般的には多様な面からの検討が必要で、またその人がよって立つ場や視点によってもその重点とするところが異なるので、一概に論ずるのは非常に危険であるとは思うが、ここでは概論的にいろいろなファクターを考えてみることとして、その絶対的な重要性については論じないこととする。

被害がどのような形で現れるかによらず、一つの重要なポイントは、衝突する確率で測ることができることであろう。他の一つは損害の大きさがどのような要素によって変化するかという指標であろう。まず衝突確率について考えてみる。

衝突確率は、鳥がどの程度飛んでいて、それが飛行空間にある割合がどの程度になるかという、鳥密度という関数を使う。この関数は空間と時間によって変化する。つまり鳥は群れとなって移動するがその大きさや鳥の種類、空間形状等は国や空港によって異なるし、季節や天候によっても変化する。当然、空港でどのような対策が採られ実行されているかによっても異なっている。

多分、気象学における天気現況のようなものを想起されれば良いかと思う。あるいは、鳥という個体の集合をイメージするならば、春に発生する黄砂、もっと身近なところでは、雲霞の群れや蚊柱のようなものを思い出してもらっても良い。とにかく、それらの粒子様物体は空間的にはあちらこちらに分散・偏在していて、しかもその状態は時々刻々変化しているというのがイメージされるであろう。

もしこの鳥密度関数が完全な形で把握できれば、いつ飛行機を離着陸させれば良いかが分かるし、あるいは逆に、この鳥密度関数の変化を考慮しないで飛行すれば、鳥密度の高い時空間での衝突確率が高くなるのは当然で、容易に想像されることである。

この鳥密度関数Bに飛行関数Aをかけたものがリスクの大きさを示すものであるから

S=B(x,t)*A(x,t)

Aも数学的には空間と時間の関数として表されるが、もちろんこれは飛行機がいつ、どこを飛ぶかということであり、コントロール可能なものである。あるいは、鳥衝突確率が飛行径路全対でゼロになるようにこの飛行関数を決定するということも言える。

次に、リスクの大きさに損害の程度を含めた場合には、これに危険度関数が加味される必要がある。つまり危険度関数というのは損害の大きさを表すもので、当然、鳥の種類や大きさ、飛行機の種類、機体のどこに当たったかという衝突個所、空域のどこで発生したかという衝突場所、飛行運用の種類(客用、貨物用、軍用、実機か回送機か)等々、種々のパラメータが含まれている。この危険度関数をDとすると、

R=S*D(x,t)

このように鳥衝突リスクを示すことで、そのリスクをどのように減少させることができるか、という対策も見えてくるし、現状取られている対策が有効かどうかを判断することも可能となろう。

この様なアプローチは、主にヨーロッパで取られており、最近では中国でもこのような観点から研究、対策がとられつつある。

 

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